「春日…ありがとうな。お前が由比を助けてくれなかったら、俺は今頃……」
「…ありがとう、ひなちゃん」
とても不思議な気持ちで、わたしは目の前の真新しい墓標に手を合わせます。
わたしは、ほんとうにもういないんだな。
「由比、ケガは大丈夫?」
「ん、もうほとんど大丈夫」
由比ちゃんの身体はすっかり馴染んで、わたしがわたしであったころの記憶もこのごろでは
だんだん薄れて行くようでした。
喬木くんが、事故の後遺症がまだすこし残るわたしを左側から支えてくれます。
その力強い腕のあたたかさを感じながら、わたしはそっと目を閉じました。

『わたし』には、もうあのトリたちの姿は見えません。
けれど---

「喬木くん」
「ん?」
「ひなは、いつでもここにいるよ」
 もどる  まえ 

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